溺愛もふもふ甘恋同居〜記憶喪失な彼のナイショゴト〜
「下手したら戻りが深夜とかになっちまうかも知んねぇ」

 オマケにそんな風に付け加えてくるから、
(もしかして……仕事にかこつけて避けられてる……?)
 そう思ってしまった。

 生理中の(抱けない)私に用はないってこと?とかネガティブな思考がグルグルして、日和美(ひなみ)は思わずギュッと奥歯を噛みしめずにはいられなくて。

 両想いだと分かった日和美に、当然のように迫る気満々だった信武(しのぶ)だ。そんな彼に肩透かしのようにくらわせてしまった、女の子の日発言。

 何も影響がないわけないではないか。

 思えば、過去二人の彼氏らと上手くいかなくなってしまった原因だって、(おおむ)ねそんな感じだったのだから。

 高校生の時の彼氏も、大学生の時の彼氏も、日和美が彼らからのキスを拒んでしまった結果、何となく気まずくなって別れてしまった。

 キスに関しては、信武は彼らより数倍上を行く手練れだったから。日和美が拒否する隙も与えず気が付いたら奪われてしまっていたのだけれど――。

 さすがに肉体関係(そのさき)についてはそう簡単には許せなくて。
 そうこうしているうち、物理的にも本当に一週間無理になってしまったのだから、信武が面白くないと感じていても不思議ではない気がした。

(うー、でも)

 昨夜の信武は生理痛に苦しむ日和美にとても優しかったから。
 そんな信武が、いま日和美が思い浮かべたような理由で自分のことを避けるのは不自然に思えてしまう。
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