溺愛もふもふ甘恋同居〜記憶喪失な彼のナイショゴト〜
見たことがあるはずなのに何故だか頭に靄がかかったみたいで、今一歩のところで真相に手が届かないもどかしさが募る。
そのまま窓辺に張り付いて彼らを見ているのはいけないことだと思って。
一歩、二歩と後ずさった日和美だけれど、一番逸らしたいはずの目線だけがなかなか二人から離れてくれない。
眉根を寄せて喫茶店から距離をとる日和美の視線の先。
腰まで届きそうな長い黒髪をポニーテールに束ねた、薄桃色のワンピース姿の女性が、信武の手をぎゅっと握る。
そのまま信武の目をじっと見つめて、二言三言何かを告げた後、信武の頭を親し気にふわふわと撫でた。
信武の柔らかな金髪が彼女の手の動きに合わせて形を変えるさまに、日和美は息を呑む。
信武に撫でられたことはあっても、日和美から彼にそんなことはしたことがなかったと気が付いた途端、何故だか分からないけれど指先にギュッと力がこもった。
信武だったらきっと……。 意に沿わないことをされたなら、相手の手を振り払うだろうなと分かるのに、そんなこともしないでおとなしく撫でられているから。
(……嫌じゃないんだろうな)
そのさまを見せつけられるのがしんどくてたまらないのに、目が釘付けになったみたいに離せないまま、日和美は喉の奥に何かがつかえたみたいな息苦しさを感じて身動きが取れなくなった。
そのまま窓辺に張り付いて彼らを見ているのはいけないことだと思って。
一歩、二歩と後ずさった日和美だけれど、一番逸らしたいはずの目線だけがなかなか二人から離れてくれない。
眉根を寄せて喫茶店から距離をとる日和美の視線の先。
腰まで届きそうな長い黒髪をポニーテールに束ねた、薄桃色のワンピース姿の女性が、信武の手をぎゅっと握る。
そのまま信武の目をじっと見つめて、二言三言何かを告げた後、信武の頭を親し気にふわふわと撫でた。
信武の柔らかな金髪が彼女の手の動きに合わせて形を変えるさまに、日和美は息を呑む。
信武に撫でられたことはあっても、日和美から彼にそんなことはしたことがなかったと気が付いた途端、何故だか分からないけれど指先にギュッと力がこもった。
信武だったらきっと……。 意に沿わないことをされたなら、相手の手を振り払うだろうなと分かるのに、そんなこともしないでおとなしく撫でられているから。
(……嫌じゃないんだろうな)
そのさまを見せつけられるのがしんどくてたまらないのに、目が釘付けになったみたいに離せないまま、日和美は喉の奥に何かがつかえたみたいな息苦しさを感じて身動きが取れなくなった。