溺愛もふもふ甘恋同居〜記憶喪失な彼のナイショゴト〜
心臓が押しつぶされそうな痛みにビニール袋を持っていない方の手で思わず胸を押さえて。
ここが外じゃなかったら、痛みの元凶の胸元を外側から搔きむしって、この痛さはそのせいだと錯覚してしまいたい、と思ってしまった。
プレゼントだろうか。
ひとしきり信武の頭を撫で回した女性が、すぐそばに置いていた小さな紙袋を彼に手渡して。
信武は中をチラリと覗き込むと、すごく嬉しそうに微笑んだ。
日和美はそんな二人のやり取りに、とうとうくるりと踵を返すと、それでも歩き出せないままにその場へ立ち尽くしてしまう。
「信武さんの、バカ……」
無意識に口をついて出た言葉に、自分自身驚いた日和美だ。
そんな日和美の頬を、一際強い風がざぁっと撫でて――。
それと同時、まるで水に濡れたところに風を当てた時みたいな冷たさを感じた日和美は、思わず頬に手を触れた。
(え、うそ……、なん、で?)
指先が濡れたことで初めて。
自分がほろほろと止めどなく涙を流しているのだと気が付いた日和美は、ますます困惑してしまう。
(――こんな苦しい気持ち、私、知らない……!)
日和美は手にしていたビニール袋をその場へドサリと落とすと、泣きながら駆け出していた。
――信武さん。貴方がそんな風に無防備になれる。その女性は誰ですか?
ここが外じゃなかったら、痛みの元凶の胸元を外側から搔きむしって、この痛さはそのせいだと錯覚してしまいたい、と思ってしまった。
プレゼントだろうか。
ひとしきり信武の頭を撫で回した女性が、すぐそばに置いていた小さな紙袋を彼に手渡して。
信武は中をチラリと覗き込むと、すごく嬉しそうに微笑んだ。
日和美はそんな二人のやり取りに、とうとうくるりと踵を返すと、それでも歩き出せないままにその場へ立ち尽くしてしまう。
「信武さんの、バカ……」
無意識に口をついて出た言葉に、自分自身驚いた日和美だ。
そんな日和美の頬を、一際強い風がざぁっと撫でて――。
それと同時、まるで水に濡れたところに風を当てた時みたいな冷たさを感じた日和美は、思わず頬に手を触れた。
(え、うそ……、なん、で?)
指先が濡れたことで初めて。
自分がほろほろと止めどなく涙を流しているのだと気が付いた日和美は、ますます困惑してしまう。
(――こんな苦しい気持ち、私、知らない……!)
日和美は手にしていたビニール袋をその場へドサリと落とすと、泣きながら駆け出していた。
――信武さん。貴方がそんな風に無防備になれる。その女性は誰ですか?