溺愛もふもふ甘恋同居〜記憶喪失な彼のナイショゴト〜
 制服姿だったから気後れして、その場ではすぐに買えなかった日和美(ひなみ)だ。

 でもどうしても気になったから。

 週末に手持ちの中では一等大人っぽい私服に身を包んで、メイクまで施して再度本屋に出向いたのを覚えている。

 わざわざ裏返して、バーコード側を向けて店員さんに手渡したのに、そこにもうっすらと表紙の絵柄が作品紹介の文字の下に透けるように描かれていたから死ぬほど恥ずかしかった!

『――高校生にはお売り出来ません!』
 そう言われて突っぱねられるかも、とソワソワしながら店員さんの手元ばかりをじっと見つめて。
『――……円です。カバーはお付けしますか?』
 そう問われた時には『そのままで大丈夫です!』と震える声で応えて図書カードで決済したことまで鮮明に思い出せる。

 でも、だからこそ! 無事に買えた時の喜びもひとしおだったのだ。

 それが、萌風(もふ)もふ先生の処女作『ユラユラたゆたう夏祭り〜金魚すくいですくったふわふわドS王子様からの濡れ濡れな溺愛が止まりません!〜』だったのだけれど。

 萌風(もふ)もふ先生の作品を読んでからはエッチなTL小説沼にどっぷり浸かってしまったけれど、漫画だって結構好きで……今でも沢山読んでいる。
 ただ、紙本で集めている小説とは違って、漫画はもっぱら電子書籍中心なだけ。
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