溺愛もふもふ甘恋同居〜記憶喪失な彼のナイショゴト〜
「――はぁ!? 今更それ聞くのかよ。俺、今まで散々お前に言ってきただろーが、バカ日和美(ひなみ)め! 酔狂や冗談で俺の女になれって言うほど俺は(おりゃあ)暇じゃねーんだよ! 分かったか!」

 グイッとあごを持ち上げられてじっと瞳を覗き込まれた日和美は、余りの顔の近さに思わずたじろいでしまう。

(あ……、これ、絶対キスされるやつ)

 そう思いながらも、言わずにはいられない。

「……じゃあなんで今、私の言葉に応えて『好きだ』って言ってくれないんですか? 意地悪ですか?」

 掴まれた手をグッと掴み返してじっと彼を見上げたら、信武(しのぶ)が驚いたように瞳を見開いた。

 そうしてククッと喉を鳴らして笑い出す。

「なぁ、日和美よ。その言葉、そっくりそのままお前に返してやるよ。――で、結局お前はどうなんだ? 俺のこと、ちったぁ好きだと思えるようになったのか。俺も前からそれ、お前に聞いてると思うんだがな⁉︎」

 掴んだ手首を逆の手でグイッと掴み直されて、日和美はぶわりと頬を赤く染める。

「――す、好き……です……。ちょっとどころじゃなく沢山沢山好きです……【多分】!」

 照れ隠しに「多分」と付け足してしまった日和美をグイッと腕の中に抱き締めると、信武が日和美の耳元で低く甘くささやいた。

「――俺も日和美が好きだ。ちょっとどころじゃなく目一杯お前に惹かれてるから安心しろ。神様なんざ信じちゃいねぇーけど今だけそいつに誓ってやってもいい。やましいことなんてひとつもねぇから。黙って俺に愛されろ」
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