溺愛もふもふ甘恋同居〜記憶喪失な彼のナイショゴト〜
「え、えっと……、わ、私がいつも読んでる萌風(もふ)もふ先生の作品もすっごくエッチなんですけどね。……その、ラブシーンの時の言葉選びって言うんですか? あ、あれがこう、萌風(もふ)先生のは女性向けと言うか何というか……すっごく婉曲的で柔らかいんです……。でも信武(しのぶ)さんのは直接的な言葉が多くて包み隠されてないから……何だか、その……す、すっごく照れ臭かったというか……。と、とにかくそんな感じですっ!」

 日和美(ひなみ)があまりにも真っ赤になって必死に弁明してくれるから……。
 信武はだんだん気持ちの整理がついて来て、それと同時にそんな日和美をもっと(はずかし)めて揶揄(からか)いたくなってしまった。

「――例えば?」

「えっ」

「だから。例えばどういう言葉がそうだと感じたわけ? 参考までに教えてもらいてぇーんだけど」

 実際には言われなくても分かっている。
 信武だって作家として普段から色々勉強をしているし、別にTLに対してもそれほど造詣(ぞうけい)が深くないわけでもない。

(いや、むしろ深過ぎるくれぇーか)

 だからこれは単なる意地悪に過ぎなかったのだけれど。

「たっ、例えばって……。そ、そんな急に言われてもっ」

 真面目な日和美が必死になるから。
 信武は引くに引けなくなった。


「ふぅ~ん。じゃあさぁ、俺がいくつか例をあげてやっからTL風に置き換えてみ?」

 言いながら、いきなり深すぎる語句を選んだら拒否られるかも知んねぇな、と思った信武は、手始め手にライトな言葉から攻めてみることにした。
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