溺愛もふもふ甘恋同居〜記憶喪失な彼のナイショゴト〜
「――そうだなぁ。例えば……乳輪。俺ならそのまんま書いちまうけど……萌風(もふ)だとどう表現するわけ?」

「ふぇっ!? にゅっ、にゅうっ!?」

「そう乳輪。別にそんないやらしい言葉じゃねぇだろ。日和美(ひなみ)、過剰反応し過ぎ」

 日和美の羞恥心(しゅうちしん)逆手(さかて)にとって、お前、エッチなこと想像し過ぎなんじゃねぇの?みたいな雰囲気を醸し出してやったら信武(しのぶ)の目論見通り。

 チョロ子の日和美はグッと言葉を飲み込んでから、

「か、過剰反応なんてしてません! ……えっと乳輪ですよね!? ……い、色々ありますけど……色付き……とか……そんな感じ……でしょう……か」

 勢いに任せて〝乳輪〟と口走ってみたものの、途中で気恥ずかしくなってきたのだろう。
 最後に近付けば近づくほどゴニョゴニョと消え入りそうな声で……それでもちゃんと答えてくれた日和美が信武には可愛くてたまらなかった。

 信武は日和美の反応に大満足で心の中、ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべる。


「なるほど、色付き、ね。――ホント勉強になるわぁ。じゃあさ、その先についてる乳首は?」

「ちっ、ちくっ!?」

 動揺のあまり肩を跳ねさせた日和美が、手にしていた紅茶のカップを大きく揺らして、危うく中身をこぼしそうになる。

 それを慌ててテーブルに戻すと、ギュウッとカップに添えた手に力を込めたのが分かった。


少し(ちぃーと)ばかり揶揄(からか)い過ぎたか?)

 信武がそう思った矢先。

「……む、胸の先端の敏感な突起……」

 日和美が消え入りそうな声でそう告げて。
 耳まで真っ赤にした彼女が愛しくて仕方がないと思ってしまった信武だ。
< 190 / 271 >

この作品をシェア

pagetop