溺愛もふもふ甘恋同居〜記憶喪失な彼のナイショゴト〜
「敏感な突起、ねぇ……」

 わざとらしく日和美(ひなみ)の言葉を繰り返した信武(しのぶ)は、そんな敏感なとんがりなら乳首の他にもあるじゃねぇかと思って。

(いや、けどさすがにそいつは(そいつぁー)正常な状態で言わせるにゃ、ハードルが高すぎて可哀想か)
 と思い直す。

 信武が一人そんなことを考えていたら、
「あ、あのっ、信武さん! あらかじめ言っておきますけど……し、下の方のことを聞くのは無しですよっ? さすがにそっちは恥ずかしくて口に出来ないのでっ!」
 と先手を打たれてしまった。


「なぁ、日和美。一応確認なんだけど……下の方のことって……パンツん中?」

 本当は言われなくても分かっている。
 日和美が避けたいのは、陰核とか陰唇とか膣口とか……そんな言葉たちのことを指しているはずだ。

 元よりそんなところまで言わせるつもりはなかった信武だが、先んじてそこを封じてきた日和美が憎らしくも思えて。
 意図的に含みを持たせるような言い方をしてニヤリとしたら、途端真っ赤な顔をした日和美に「わ、分かってて意地悪してますよね!? 信武さんのエッチ!」と睨みつけられた。

(いやいやいや。そりゃーさすがにこっちはお預け喰らいまくってんだ。少しぐらいエロいこと意識させてぇと思ったって(ばち)なんざ、当たらねぇーだろ)

 などと日和美にとっては全くもって理不尽なことを思ったのと同時。
 信武は自分に噛みついてくる日和美の、不機嫌に(ゆが)められた顔さえ可愛いと思ってしまう自分のことを相当重症だと実感する。
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