溺愛もふもふ甘恋同居〜記憶喪失な彼のナイショゴト〜
「……萌風先生はプレゼントとか送り付けられて……ご迷惑だったってことでしょうか」
涙目になりながらポツンとつぶやかれた言葉に、「んなわけねぇだろ」と信武が即答して。
日和美は「何で信武さんにそんなことが分かるんですかっ」と、お門違いだと分かっていながらも、噛みつかずにはいられない。
「は? んなの《《俺が》》喜んでるからに決まってんだろ」
ギュッと泣き顔の日和美を腕の中に抱き締めて、信武は彼女が疑問を挟み込む余地を与えずに畳み掛ける。
「お前からのファンレターもプレゼントも、全部全部俺にとっちゃあ最高の品々ばっかだった。迷惑なモンなんてひとつもなかったよ」
「え……? 私……信武さんにファンレターなんて」
日和美は《《まだ》》〝立神信武先生〟にファンレターを書いたことはない。
日和美がそれらを宛てた相手は萌風もふ先生だ。
そう言おうとした日和美に、信武が溜め息まじりに小さく舌打ちをして。
「なぁ、……まだ分かんねぇの? 俺が! お前が愛してやまない萌風もふなんだけど」
吐き捨てるようにそう言ったら、信武の腕の中で日和美が明らかに硬直したのが分かった。
「立神信武の裏ペンネーム。それが萌風もふだ」
日和美を抱く腕をそっと緩めると、信武は日和美の顔を覗き込んだ。
***
信武に真正面から顔を覗き込まれた日和美は、頭の中がパニック状態。
「えっ。でも萌風もふ先生は女性で……。し、信武さんの編集さんじゃぁ……?」
昼間信武のサイン会の時、信武の後ろで彼の世話を甲斐甲斐しく焼いていた担当編集者は、髪型や服装の雰囲気こそ違えど、日和美が先日信武と喫茶店でお茶をしていたところを目撃した相手――萌風もふ先生に他ならなかった。
公私共に(?)親密げに見える二人を見たからこそ、自分はショックを受けたのだ。
なのに、信武が萌風先生とはどういう意味だろう?
理解できないままに呆然と信武を見詰めたら、信武が何とも言えない顔をして笑った。
涙目になりながらポツンとつぶやかれた言葉に、「んなわけねぇだろ」と信武が即答して。
日和美は「何で信武さんにそんなことが分かるんですかっ」と、お門違いだと分かっていながらも、噛みつかずにはいられない。
「は? んなの《《俺が》》喜んでるからに決まってんだろ」
ギュッと泣き顔の日和美を腕の中に抱き締めて、信武は彼女が疑問を挟み込む余地を与えずに畳み掛ける。
「お前からのファンレターもプレゼントも、全部全部俺にとっちゃあ最高の品々ばっかだった。迷惑なモンなんてひとつもなかったよ」
「え……? 私……信武さんにファンレターなんて」
日和美は《《まだ》》〝立神信武先生〟にファンレターを書いたことはない。
日和美がそれらを宛てた相手は萌風もふ先生だ。
そう言おうとした日和美に、信武が溜め息まじりに小さく舌打ちをして。
「なぁ、……まだ分かんねぇの? 俺が! お前が愛してやまない萌風もふなんだけど」
吐き捨てるようにそう言ったら、信武の腕の中で日和美が明らかに硬直したのが分かった。
「立神信武の裏ペンネーム。それが萌風もふだ」
日和美を抱く腕をそっと緩めると、信武は日和美の顔を覗き込んだ。
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信武に真正面から顔を覗き込まれた日和美は、頭の中がパニック状態。
「えっ。でも萌風もふ先生は女性で……。し、信武さんの編集さんじゃぁ……?」
昼間信武のサイン会の時、信武の後ろで彼の世話を甲斐甲斐しく焼いていた担当編集者は、髪型や服装の雰囲気こそ違えど、日和美が先日信武と喫茶店でお茶をしていたところを目撃した相手――萌風もふ先生に他ならなかった。
公私共に(?)親密げに見える二人を見たからこそ、自分はショックを受けたのだ。
なのに、信武が萌風先生とはどういう意味だろう?
理解できないままに呆然と信武を見詰めたら、信武が何とも言えない顔をして笑った。