溺愛もふもふ甘恋同居〜記憶喪失な彼のナイショゴト〜
「はぁ? あんだろ、メリット」
絶対にないと思うのに、信武がそう言い切るから。
日和美は思わず彼をじっと見つめた。
「俺のことを呼び捨て出来るようになりゃあ、お前が俺の従姉に引け目を感じる度合いが減る」
「そ、れは……」
確かにそうなのだけれど――。
こういうのは時間をかけて少しずつ習得していくもので、強制されて出来るようになることではないと思う。
なのに、日和美がそう反論するより先に、信武から
「じゃあ、今からスタートな? お前が俺を〝さん付け〟するたびにお前の服、一枚ずつ《《もらう》》から……。ま、せいぜい頑張れ」
と宣言されてしまって。
ククッと楽しそうに喉を鳴らす信武を見て、日和美はこの場合の「もらう」は「脱がせる」と同義だと確信する。
(わ、私の今日の服装っ)
やるつもりは微塵もない癖に、思わず自分が今何を着ているのか顧みずにはいられなかった日和美だ。
今日の日和美は、デニムジャケットの下に赤ボーダーのロングTシャツ。下にはハイウェストの白いタイトスカートを合わせている。
スカートから覗いた両足は、一見生足みたいに見えるけれどもちろん人様のお宅を訪問するのが分かっていて素足と言うわけにはいかないので、ストッキングを履いていて。
下着は白のスリップと、上下お揃いの淡いピンクのブラジャーとショーツ。
冬ならもっともこもこに着込んでいるのに、初夏に差し掛かる頃ということで、何とも心許ない着枚数だ。
夜だからとデニムジャケットを着てきて良かったと思いながら、(バカ日和美! なに信武さんに流されて掛けてるの!)と慌てて思い直す。
「ちょっ、待ってください、信武《《さん》》っ。わ、私、まだやるなんて一言もっ」
「はい、ペナルティ一~」
色々思いを巡らせた後、懸命に反論しようと試みたら、ニヤリと意地悪く笑った信武に、デニムジャケットをはぎとられてしまった。
絶対にないと思うのに、信武がそう言い切るから。
日和美は思わず彼をじっと見つめた。
「俺のことを呼び捨て出来るようになりゃあ、お前が俺の従姉に引け目を感じる度合いが減る」
「そ、れは……」
確かにそうなのだけれど――。
こういうのは時間をかけて少しずつ習得していくもので、強制されて出来るようになることではないと思う。
なのに、日和美がそう反論するより先に、信武から
「じゃあ、今からスタートな? お前が俺を〝さん付け〟するたびにお前の服、一枚ずつ《《もらう》》から……。ま、せいぜい頑張れ」
と宣言されてしまって。
ククッと楽しそうに喉を鳴らす信武を見て、日和美はこの場合の「もらう」は「脱がせる」と同義だと確信する。
(わ、私の今日の服装っ)
やるつもりは微塵もない癖に、思わず自分が今何を着ているのか顧みずにはいられなかった日和美だ。
今日の日和美は、デニムジャケットの下に赤ボーダーのロングTシャツ。下にはハイウェストの白いタイトスカートを合わせている。
スカートから覗いた両足は、一見生足みたいに見えるけれどもちろん人様のお宅を訪問するのが分かっていて素足と言うわけにはいかないので、ストッキングを履いていて。
下着は白のスリップと、上下お揃いの淡いピンクのブラジャーとショーツ。
冬ならもっともこもこに着込んでいるのに、初夏に差し掛かる頃ということで、何とも心許ない着枚数だ。
夜だからとデニムジャケットを着てきて良かったと思いながら、(バカ日和美! なに信武さんに流されて掛けてるの!)と慌てて思い直す。
「ちょっ、待ってください、信武《《さん》》っ。わ、私、まだやるなんて一言もっ」
「はい、ペナルティ一~」
色々思いを巡らせた後、懸命に反論しようと試みたら、ニヤリと意地悪く笑った信武に、デニムジャケットをはぎとられてしまった。