溺愛もふもふ甘恋同居〜記憶喪失な彼のナイショゴト〜
***
「いや、だから! お前は俺の仕事のことなんて気にしなくていいんだよ。茉莉奈の言うことはハッタリも多いし……とにかく気にすんな」
「無理! だってすっごく気になっちゃうんだもん! 私、貴方の大ファンなんだからね⁉︎」
それは萌風もふとしてはもちろんのこと、立神信武としても同等なのだと日和美が熱い視線を送ってくるから。
信武はグッと言葉に詰まってしまう。
「お、お前が! 一緒に住んでくれたら俺、すっげぇ〝ヤル気〟が湧いてくんだけどな?」
一呼吸置いて苦しまぎれ。そんな風に言ってみた信武だったのだけれど。
「前からずっとそれ言われてるけど……信武の言う〝ヤル気〟って仕事だけにかかってるように思えないから却下ね? それに……私の職場、うちのアパートからの方が近いんだよ? 信武ん家からだと距離が倍になるからイヤだ。最近梅雨入りして雨降りの日が多いし、歩く距離が伸びたら足元びしょ濡れになっちゃう!」
「そんなん! 俺が送り迎えしてやりゃー解決だろ!?」
日和美の言葉に、思わずそんな風に返してしまった信武だ。
「はいアウト! それ、本末転倒だからね⁉︎ 信武にそんな無駄な時間過ごさせたら私、ますます茉莉奈さんに合わせる顔がなくなっちゃう!」
だが即座に至極まともな反論をされて、信武は悔しまぎれ。半ば駄々っ子のように言葉を紡いだ。
「茉莉奈は俺が黙らせるし問題ねぇわ」
「いや、問題しかないでしょ! 貴方の熱烈なファンの一人としても、先生の執筆の妨げになるようなことは断固拒否します!」
日和美の意志は岩より固かった。
***
「信武、本気なの?」
日和美との攻防戦があった翌日。
死ぬ気で原稿を仕上げた信武は、茉莉奈をマンションに呼びつけて出来立てホヤホヤの原稿を手渡した。
その上で思ったことを告げたら物凄く驚かれて。
「ああ、本気だ」
言ったら、「貴方、昔から言い出したら聞かないから」と半ば諦めモードで吐息を落とされた。
信武は茉莉奈への意志表示を済ませてから、即座に父親である立神信真にアポを取って。
妻であり信武と弟真武の実母でもあるマノンととともにマンションを訪れた信真に
「俺、引っ越すから」
唐突にそう告げた。
「いや、だから! お前は俺の仕事のことなんて気にしなくていいんだよ。茉莉奈の言うことはハッタリも多いし……とにかく気にすんな」
「無理! だってすっごく気になっちゃうんだもん! 私、貴方の大ファンなんだからね⁉︎」
それは萌風もふとしてはもちろんのこと、立神信武としても同等なのだと日和美が熱い視線を送ってくるから。
信武はグッと言葉に詰まってしまう。
「お、お前が! 一緒に住んでくれたら俺、すっげぇ〝ヤル気〟が湧いてくんだけどな?」
一呼吸置いて苦しまぎれ。そんな風に言ってみた信武だったのだけれど。
「前からずっとそれ言われてるけど……信武の言う〝ヤル気〟って仕事だけにかかってるように思えないから却下ね? それに……私の職場、うちのアパートからの方が近いんだよ? 信武ん家からだと距離が倍になるからイヤだ。最近梅雨入りして雨降りの日が多いし、歩く距離が伸びたら足元びしょ濡れになっちゃう!」
「そんなん! 俺が送り迎えしてやりゃー解決だろ!?」
日和美の言葉に、思わずそんな風に返してしまった信武だ。
「はいアウト! それ、本末転倒だからね⁉︎ 信武にそんな無駄な時間過ごさせたら私、ますます茉莉奈さんに合わせる顔がなくなっちゃう!」
だが即座に至極まともな反論をされて、信武は悔しまぎれ。半ば駄々っ子のように言葉を紡いだ。
「茉莉奈は俺が黙らせるし問題ねぇわ」
「いや、問題しかないでしょ! 貴方の熱烈なファンの一人としても、先生の執筆の妨げになるようなことは断固拒否します!」
日和美の意志は岩より固かった。
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「信武、本気なの?」
日和美との攻防戦があった翌日。
死ぬ気で原稿を仕上げた信武は、茉莉奈をマンションに呼びつけて出来立てホヤホヤの原稿を手渡した。
その上で思ったことを告げたら物凄く驚かれて。
「ああ、本気だ」
言ったら、「貴方、昔から言い出したら聞かないから」と半ば諦めモードで吐息を落とされた。
信武は茉莉奈への意志表示を済ませてから、即座に父親である立神信真にアポを取って。
妻であり信武と弟真武の実母でもあるマノンととともにマンションを訪れた信真に
「俺、引っ越すから」
唐突にそう告げた。