溺愛もふもふ甘恋同居〜記憶喪失な彼のナイショゴト〜
(4)下心はありません! 純粋な人助けです!(多分)
 日和美(ひなみ)の愛車は、祖父母が日和美の大学卒業&三つ葉書店への就職祝いに買ってくれた、黄色と白のツートンカラーが可愛いSUZUSI(スズシ)自動車のハッスラーというSUVテイストの軽自動車だ。

 初めてこの車と対面した時は、ド派手なビタミンカラーがまぶしくて堪らなかった日和美だけれど、祖母が「目立っちょったら事故にも遭いにくかろ?」と自信満々な様子でニカッと笑うから、それもそうよねと思ってしまった。

 中古車でも新古車でもなく新車というのが、もうじき社会人という学生に毛が生えた身分の日和美にはもったいなさ過ぎて恐縮したのを覚えている。

 祖父母が購入してくれた車に、父親が一年間分の任意保険(しかも車両保険付き!)をかけてくれて、「それがお父さんからのお祝いだよ」と言われた。

 そんなこんなで、社会人一年目の今年は燃料費だけを気にして事故に遭わないよう乗ればいいけれど、来年以降は満了期間に応じて自動車税や任意保険、車検費用や自賠責……等々、この車を維持するための経費を見越した暮らしをしなければならない。

 しっかり計画的にお金を貯金しておかないと!と思う(かたわ)らで、気になるティーンズ()ラブ()本が出るとついついお財布の紐が緩んでしまうことを自覚している日和美だ。
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