溺愛もふもふ甘恋同居〜記憶喪失な彼のナイショゴト〜
「わー、ふわっふわのお布団! 欲しい!」

 この部屋の主。
 山中日和美(ひなみ)は、一人暮らしを始めて今年で五年目に入る、二十三才の可愛らしい独身女性だ。

 見た目は悪くないのだけれど、行動がちょいちょいぶっ飛んでいるせいか、彼氏が出来ても深いお付き合いが始まる前にいつも「こんな子とは思わなかった」と言われてフラれてしまう。

 そんなこんなでいま現在は、悲しいかな特定のお相手もいないフリーの身。

 恋愛に興味がないわけじゃない――ばかりかかなり興味津々だけど、こればっかりは一人じゃどうにもならないから、新しい環境で新彼がゲットできるのを楽しみにしているところだ。

 大学四年間を過ごしたアパートは、新卒で採用された、全国展開の大手書店『三つ葉書店(みつばしょてん)』の学園町店(がくえんまちてん)への利便性もそんなに悪くなかったので、そのまま契約更新をして住み続けることにした。

 したのだけれど――。

 せっかく新生活が始まるというのに何も変化がないというのは何だか寂しいな、とも思っていて。
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