溺愛もふもふ甘恋同居〜記憶喪失な彼のナイショゴト〜
(日和美さん、ごめんなさい……)
不破が昼食を食べるために、と日和美が置いて出てくれた千円札を握りしめると、不破は日和美の勤め先とは違う本屋に足を向けたのだった。
そして出向いたその先で、不破はある人物と出会うこととなる――。
***
「あの……今、その本は不破さんの私物だって聞こえた気がしたんですけど……」
――何かの間違いですよね?
そう続けようと戸惑いに揺れる瞳で不破を見詰めたら、「はい、確かにそう言いました」と信じられない言葉が返ってきて。
日和美は思わず「嘘……」とつぶやいていた。
「男がこういう本を好きだと気持ち悪いですか?」
途端悲しそうに眉根を寄せられて、今の「嘘」は決してそんな偏見から出た言葉ではないのだと、日和美は思いっきり首を横に振る。
「ちっ、違うんですっ。あ、あのっ。わ、私もっ……実はそういう本が大好きで……。でも大抵誰に話しても『ああ、エッチなやつね』って軽くあしらわれちゃってたから……。その、ひ、人に言うのはダメだと思い込んでて……それで……」
最近は同性の友達にだってこういうTLが好きだとは言えなくなっていた日和美だ。
不破が昼食を食べるために、と日和美が置いて出てくれた千円札を握りしめると、不破は日和美の勤め先とは違う本屋に足を向けたのだった。
そして出向いたその先で、不破はある人物と出会うこととなる――。
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「あの……今、その本は不破さんの私物だって聞こえた気がしたんですけど……」
――何かの間違いですよね?
そう続けようと戸惑いに揺れる瞳で不破を見詰めたら、「はい、確かにそう言いました」と信じられない言葉が返ってきて。
日和美は思わず「嘘……」とつぶやいていた。
「男がこういう本を好きだと気持ち悪いですか?」
途端悲しそうに眉根を寄せられて、今の「嘘」は決してそんな偏見から出た言葉ではないのだと、日和美は思いっきり首を横に振る。
「ちっ、違うんですっ。あ、あのっ。わ、私もっ……実はそういう本が大好きで……。でも大抵誰に話しても『ああ、エッチなやつね』って軽くあしらわれちゃってたから……。その、ひ、人に言うのはダメだと思い込んでて……それで……」
最近は同性の友達にだってこういうTLが好きだとは言えなくなっていた日和美だ。