三番線に恋がくる
朝のきみ
朝は嫌いだ。
いつもいつも、苛立つことが多いから。


私の名前は、西園寺(さいおんじ) 白雪(しらゆき)。名前だけならどこのお嬢様だという感じだ。

でも実際はごく普通の庶民。
ごく普通の家に住んで、偏差値も制服の可愛さも中の中の公立高校に通って、ごく普通に優しくてそれなりに厳しい両親に育てられ、ごく普通……よりかなりうるさい三人の弟(小学生)に毎日振り回されている。

そう……この弟たちが朝の苛立ちの一番の原因。

うちの両親は共働き。朝から忙しいので私も家事に協力している。

今日も眠さでぼんやりする頭を必死に奮って、早朝出勤の両親の代わりに朝ごはんを用意。
早起きなのはいいけど、朝から世界一どうでもいいことでこの世の終わりのように言い争いしている弟三人をキッチンから呼びつけた。

「ほら!翼、海人、大地!朝ごはん出来たよ、食べなさい!」

どん、どん、どん!と目玉焼きトーストを三人前並べて、自分もその向かいでブレックファースト。
トーストを野菜ジュースで流し込むと、キウイフルーツをポイポイと口に放り込む。
優雅な朝食とはほど遠い。

西園寺白雪のモーニングルーティーン
……としては完全に名前負けだ。


朝食のあと、洗面所で髪をブローしていると、どの目玉焼きが大きいかで喧嘩するバカ三人の声が聞こえてくる。

「うるっさい!!どれも同じだから早く食べな!!」

そう怒鳴ると、一瞬しんとなる弟ども。
でも今度は私への文句を口々に騒ぎ立てる。

うるさい。うるさすぎる。

ああ、もうもう!!
だから朝は嫌いなんだ。
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