三番線に恋がくる
ありがとう……だって。

彼が、私に、ありがとうだって。

しかもあんな近くで笑って……ああ、そう言えば初めて会話した!

(…すごい。やばい……)

彼の体調不良が理由だから、あんまり喜ぶのは不謹慎なのかもしれないけど。
それでも、一方的に見つめるだけだった彼と話せてしかも笑顔も見られたなんて、やっぱり嬉しい。

(……もしかしたら、向こう一年くらいのツキを使い果たしてしまったかも)

でも、それでもいい。それくらい私にとっては大きな一歩だったから。


私の降りる駅までの数分間。
いつもより線路の音が、高く軽やかに感じた。
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