三番線に恋がくる
(きゃああああ!!あっちから来てくれたあああ!!)

心の中は大フィーバー。
いきなりのことに脳内細胞が大変な勢いで回っている。

落ち着け、落ち着け。
ちゃんと話さないと。

「お、おはようございます。あれから大丈夫でしたか?」

「うん。電車から降りたらすぐに治りました。普段はあまり酔わないんだけど、昨日はテスト前で徹夜したあとだったから…」

「そうですか。……治ったなら良かったです」

「それで、君にはきちんとお礼を言いたくて。昨日は本当にありがとうございました」

「い、いいえ!そんな!全然!むしろ、勝手に飴を押し付けてすみませんでした。ハッカ大丈夫でした?スーッとするの平気ですか!?」

どんだけハッカを引っ張るんだ。……と心の中で自分にツッコミ。
でも彼はそんな私に呆れることなく優しい笑顔を浮かべている。

「うん。大丈夫です。食べたら本当に楽になりました」

「そう……ですか。それは良かった……。ハッカも喜んでます」

だからハッカはもういい。

何か他に話すこと。
ハッカ以外に話すこと。

せっかく彼から話しかけてくれたんだもん。
この幸運を無駄にしたくない。
< 14 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop