三番線に恋がくる
なんか。すごい。

見ているだけだったのに、普通に話している。
私の言ったことで笑ってくれている。
こんな嬉しいこと、ある?

だけど楽しい時間はすぐに終わる。
そうしているうち、彼の降りる駅まであとわずかになってしまった。
車内アナウンスが流れてくる。
彼は鞄を肩にかけ直した。

……楽しかったけど。
まだ、駄目。
今日の目標を達成していない。

「あ、あのっ……」

「なに?」

「………もし、よければ……」

頑張れ、私。いける。大丈夫。
勇気のキャンディ食べたもの。

「なっ、
名前、を、教えてもらってもいい?」

言えた!
そう実感すると顔がどんどん熱くなっていく。

「……なんて、ど、どうでしょう」

ついついそんな余計なことを言ってしまったり。
ああ、ドキドキと恥ずかしさで破裂してしまいそうだ。

彼は、……そんな私を見て微笑んだ。

「……東条(とうじょう)です」

「え?」

「東条 (つるぎ)。高二です」

「と、東条くん……」

「君は?」

東条くんがわずかに首をかしげ、私の目を見つめる。

「え、あ、私!?……わたしは、西園寺白雪です。高二です」

「同学年だったんだ」

「そ、そうみたいだね」

東条くん、落ち着いているから三年生かと思っていた。

「よろしく、西園寺さん」

「あ、う、うん!よろしく、東条くん」

電車が停車し、駅についた。
東条くんは昨日よりも砕けたような笑顔を浮かべ、私に手を振りながら降りていった。


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