三番線に恋がくる
☆☆☆
東条、剱……くん。
東条くん。
なんか頭良さそうな名前。
というか、そこはかとなく上品な名前じゃない?やっぱお坊ちゃまなのかな。
いや、まあ、名前で判断してはいけないことは、何より私が体現はしているのですがね。
「東条、くん」
その夜。自室のベッドに寝転がり、今日の戦果を反芻する。
東条くん。彼にぴったりな名前だな。
というか、私の似合わない名前をどう思っただろう。
『よろしく、西園寺さん』
「きゃー!よろしく、だって!やばい!」
枕を抱えて足をバタバタ。
音が響いたのか、階下からお母さんのお叱りの声があがる。
「……やばい。本当、やばい」
ここ数日、幸せすぎる。
色々とうまくいきすぎる。
私はベッドを抜け出し、机に大切においているジュエリーキャンディを手に取った。
もしかしたら、これは本当に願い事を叶えてくれるのかもしれない。
ハートの形はないけれど、でも私にとっては東条くんがくれたこれが幸せのキャンディだ。
決めた。
今日と同じようにこれから毎日キャンディを食べて電車に乗る。
それでたくさん勇気を出して、もっと東条くんと仲良くなって。
このキャンディがなくなるころ。
東条くんに、この気持ちを伝えよう。