三番線に恋がくる
わたしは偉くない
「おはよう、東条くん」
「西園寺さん。おはよう」
8時8分。三番線発。いつもの電車。
私は乗り込むとすぐに東条くんのところに行く。
東条くんも私が来ると、本を仕舞って立ち上がる。
そして二人ならんで立って、色々な会話をする。
それが日課になるほど、私たちの距離は近くなった。
あれから、約二週間。
私は毎朝キャンディを食べて、電車に乗った。
それだけで勇気が出るから不思議だ。
東条くんを見つけると、近づいて挨拶して。
すると東条くんは微笑んで答えてくれる。
それから東条くんが降りるまでの短い時間で、他愛もない話を繰り返す。
そうして毎朝毎朝過ごすうち、私は東条くんのことを随分詳しくなった。
本が好きなこと、洋楽も好きなこと。
お兄さんがいること。歳が結構離れていること。
朝に弱くてギリギリまで寝ているから、この電車に乗り遅れると遅刻してしまうこと。友達はみんなもっと早い電車で通学していること。
放課後は学校近くの予備校に通っていること。
彼について知っていることが増える分、私も彼に自分のことを色々教えたりして。
今では数週間前は名前も知らなかったなんて信じられないくらいだ。
「西園寺さん。おはよう」
8時8分。三番線発。いつもの電車。
私は乗り込むとすぐに東条くんのところに行く。
東条くんも私が来ると、本を仕舞って立ち上がる。
そして二人ならんで立って、色々な会話をする。
それが日課になるほど、私たちの距離は近くなった。
あれから、約二週間。
私は毎朝キャンディを食べて、電車に乗った。
それだけで勇気が出るから不思議だ。
東条くんを見つけると、近づいて挨拶して。
すると東条くんは微笑んで答えてくれる。
それから東条くんが降りるまでの短い時間で、他愛もない話を繰り返す。
そうして毎朝毎朝過ごすうち、私は東条くんのことを随分詳しくなった。
本が好きなこと、洋楽も好きなこと。
お兄さんがいること。歳が結構離れていること。
朝に弱くてギリギリまで寝ているから、この電車に乗り遅れると遅刻してしまうこと。友達はみんなもっと早い電車で通学していること。
放課後は学校近くの予備校に通っていること。
彼について知っていることが増える分、私も彼に自分のことを色々教えたりして。
今では数週間前は名前も知らなかったなんて信じられないくらいだ。