三番線に恋がくる
戸惑い
数日後の朝。
恒例のキャンディを取り出す。
コロリと手に落ちる一粒のキャンディ。

これが最後の一つだ。

「勇気をちょうだい。最後の勇気」

そう。振り絞るのは最後の勇気。
私は、今日東条くんに告白をする。

☆☆☆

「ほーら、早く。ごはん食べな!」

「白雪ー、おかわり」

「はいはい。ちゃんとごはん粒も残さずに食べなよ」

普段通りの朝食風景。
結局、弟たちとも何となく仲直りしてしまった。
全くモヤモヤがないと言えば嘘になるけれど、東条くんに「頑張ってる」と言ってもらえたからか、いい意味で肩の力が抜けたような気がする。

「白雪ー。それじゃあ、お母さん行くわね」

いつもよりちょっとだけ通勤時間の遅いお母さんが、玄関へと足早に向かう。

「うん。いってらっしゃい、お母さん」

「いってきます。……それと、来週からは出勤するの遅くなるから、朝もわたしがやるわね」

「え!本当!?」

「本当よ。しばらくは遅い時間だから、白雪もゆっくり自分のことだけしてね。
来週は、翼たち遠足だものね。お弁当作りもあるから出勤時間が遅くなって良かったわー」

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