三番線に恋がくる
今までたくさん頑張った。勇気をたくさん出した。
夢みたいに楽しかった。

東条くんと近くなれたと思った。

でもさっき、あのとき。
東条くんはあの女の子とずっと親しげに話していて、私には気づかず振り向きもしなかった。

仕方ないといえば、それまでだけど……。

勝てないのかもしれない。

狭い電車の中。短い時間。
そこでしか関係がない私たち。
それは私が思うより、小さく薄い関係かもしれない。

「…っ……」

涙が、一粒こぼれて落ちた。
線路のリズムで涙がゆれる。
ポロポロポロポロと、いくつもいくつも溢れて落ちていった。



次の日から。
8時8分三番線。
いつもの電車に乗るのをやめた。
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