三番線に恋がくる



プルルル……
発車のベルが聞こえる。

8時8分、三番線。
東条くんの乗っている電車。

「ま、待って……!乗ります!」

ようやくホームにたどり着いたとき、すでに扉は閉まる寸前だった。

待って。待って。待って。

私、乗らないと。
彼に会わないと。
伝えたいことがあるの。

「待って……!」

叫んで、電車へと向かう。

あと少し、あと一歩。
あと、もう目の前………



だけど。

プシュー……

音を立て、電車が目の前で閉まる。
そしてガタンゴトンと走っていってしまった。

ホームに私を残して。
< 42 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop