三番線に恋がくる
名前を呼ばれ、顔をあげた。
すると、そこにはここにいるはずのない人。

「……東条、くん?」

黒い髪、整った顔立ち、眼鏡越しの鳶色の目。
ずっと私が見つめていた人。


「ど、どうして!?どうして……ここに。だって……っ」

「西園寺さんが来てるのが見えたから」

「え……」

「西園寺さんが乗ろうとしているのがわかって、でも、無理そうで危ないなと思って……だから……。
……いや、違う。そうじゃなくて」

東条くんが大きくため息をつく。
髪の毛を少し乱暴にかきあげた。

「そうじゃなくて……本当はずっと西園寺さんのこと待っていた。急に乗らなくなって、ずっと気になっていて……この駅に止まる度、君のことを探していたんだ」

「東条、くん………」
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