三番線に恋がくる
☆☆☆
「三番、電車が閉まりまーす」
プッシュ、ガー……
いつもの音を背中に聞く。
(ま、間に合った……)
はあはあと荒い息。
さすがに今日はおさえきれない。
せめて周りに気づかれないよう、ドアの方を向き、うつ向きながら呼吸を整えた。
はー。それにしても今日は頑張った。
私、いつか自転車レースに出れちゃうんじゃない?
……いや、それより爆走しないでいいようにしないと。このままじゃ危ない。
呼吸が落ち着いてきたところで、辺りを見渡す。
もちろん彼の姿を探して。
(……あ)
いた。
昨日と同じ場所に座っている。
同じように本を開いて。
いつもと同じ姿。同じ様子。
それがたまらず嬉しい。
見ているだけで、すごく幸せ。
ふふ。
いろいろあったけど、今日もいい朝だ。