それでも私は、あなたがいる未来を、描きたかった。
「手! 痛いんだけど!!」

面談室の扉が閉まると同時に睨みつけると、先生は「ああ、ごめん」とあっさりと手を離した。

「もう、なんなの」

「まあ、いいから座れって」

先生は私を閉じ込めるように扉の前に立つと、座るように促した。

「嫌なんですけど」

「ちゃんと話聞いてくれたら、明日からもう呼び出さないから」

いつになく真剣な目で、先生が私を見つめる。

普段とは違う様子に、私は緊張を覚えた。

「……本当ですか?」

「おう、本当本当」


本当だろうか……。

いや、嘘っぽい。嘘っぽいけれども。

ここで反抗しても、きっと部屋から出してくれないだろうし。
ここで反抗したら、明日から呼び出されなくなる可能性をつぶすのと同然だし。

私は天を仰いだ後、ガタンと音を立てて椅子に座った。


「おお、素直じゃん」

「それで、用件は?」

「まあそんなに焦んなって」

先生が私の目の前に座る。

「用件は?」

「ほら、窓の外、見てみろよ」

「は?」

「いいから」

先生が顔を窓の方へ向ける。

それにつられて、私も視線を窓へ移した。


「綺麗……」
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