それでも私は、あなたがいる未来を、描きたかった。
「戻りたいよ……」
1週間前に戻りたい。
戻って、2人で音楽室にいたあの時に戻って、「なにかあったでしょ?」と、聞いてあげたい。
ううん、1週間前じゃなくてもいい。
昨日で良いから、戻りたい。
もし戻れたら、「どうしたの?」って、先生が話してくれるまで、そばにいるのに。
「戻りたいよ、昨日に、戻りたい……」
話してほしかった。
けれど、話せるわけ、ないよね。私はただの1人の生徒なんだから。
だから、気づいてあげたかった。
気付いて、いつかあなたがそうしてくれたように、じっくり話をきいてあげたかった。
先生、あれが最後の会話だったなんて、嫌だよ……。
私は先生にいっぱい支えてもらったのに、先生を支えるどころか、支えてもらったお礼も言えてないじゃん……。
どうやったら時間を巻き戻すことが出来るのだろう。
無理だとわかりつつも、真剣に考えてしまう。
「先生……会いたいよ……」
きっと私は、昨日の自分を、一生後悔し続けるだろう。