それでも私は、あなたがいる未来を、描きたかった。
【お元気ですか?】

先生、今、私ね、先生に、伝えたいことがたくさんあるよ。


【無事、O大に合格したよ。春から、O大生になるよ。】

「私、O大に行きたい」
センター試験の後、自分の意志と気持ちを、きちんと両親に伝えたよ。

今まで、志望校についてほとんど話してこなかったから、両親は2人揃ってかなり驚いていた。

それにね、センター試験の出来が正直あまりよくなかったから、最初は反対されたよ。

きっと、2人とも、心配していたんだと思う。

特に、年末はかなり精神的にも不安定だったから……両親は私に早く受験生活を終えてほしかったんだと思う。

けれど、どうしてO大に行きたいのか、O大じゃないといけないのか、自分なりに考えて、自分の言葉で伝えたら、わかってくれた。

「そんなにも行きたい気持ちがあるなら、頑張りなさい」

私の意志の強さに触れた時から、両親は何も言わずに、ただ応援してくれた。

その時ね、私、気づいたの。

今まで「どうして親は、私の意見を、私の気持ちを、理解しようとしてくれないんだろう」って、ずっと思ってきた。

けどね、きっと、両親だけが悪かったわけじゃないんだ、って。

どうしてその大学に行きたいのか。

本当に行きたいのであれば、両親に分かってもらえるまで、諦めずに説明するべきだった。

説明する行為を怠ってしまった自分にも原因があることに、気づいたんだ。

私ね、色々なところで“自分を知ってもらう努力”をしてこなかったように思う。

だからこれからは、相手に理解を求める前に、相手に自分を知ってもらえるように努力するね。


“諦められるのか?”


O大を受験しようか悩んでいた時、先生、いつか言ってくれたよね。
あの一言が、きっと先生にとっては当たり前だった一言が、私に意志を貫く強さを与えた。


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