それでも私は、あなたがいる未来を、描きたかった。
ひっかけ
「沙帆、今日の放課後、自習する?」
ゴールデンウィークも終わり、あっという間に五月中旬。
一学期の中間試験が目の前まで迫ってきたある日、終礼を終えると同時に美羽は少し疲れた様子で私に尋ねた。
「いや、今日は帰ろうかな。なんかやる気出ないし」
少し迷ってから、私は答える。
正直、家に帰るのも、そんなに気乗りしないんだけどな……。
ここ数日、試験勉強の進捗を事細かく聞いてくる親に、私はうんざりしていた。
「えー、残ろうよ。私、一人で勉強すると、すぐに集中力切れちゃうだよー…」
美羽が、お願い、と頼み込む。
「うーん……」
「残れよ」
頭上から降ってきた声に、私と美羽は同時に顔をあげた。
「あ、畑中先生、お疲れ様です!」
どうも先生を目の保養としているらしい美羽は、とびっきりの笑顔で先生に挨拶をした。
「お前ら、今日、学校に残って勉強しろよ」
「ですよね、テスト前ですし」
ほら、残ろうよ、と美羽が私にけしかける。
「えー、けどなあ……」
テスト前といえど、なんとなく今日はやる気が出ない。
いや、まあ、いつもやる気に満ち溢れているわけではないんだけど。
それでもなんだか今日は、特にやる気が出なかった。
「帰るなんて俺は許さないぞ」
先生は、ドン!と私の机に手をついた。
「今日、残れよ」
「どうして?」
「今日、俺、教室の戸締り担当の日だから」
……?
先生が言っていることがわからず、私は首を傾げた。
いや、言っていることはわかるんだけど。
ゴールデンウィークも終わり、あっという間に五月中旬。
一学期の中間試験が目の前まで迫ってきたある日、終礼を終えると同時に美羽は少し疲れた様子で私に尋ねた。
「いや、今日は帰ろうかな。なんかやる気出ないし」
少し迷ってから、私は答える。
正直、家に帰るのも、そんなに気乗りしないんだけどな……。
ここ数日、試験勉強の進捗を事細かく聞いてくる親に、私はうんざりしていた。
「えー、残ろうよ。私、一人で勉強すると、すぐに集中力切れちゃうだよー…」
美羽が、お願い、と頼み込む。
「うーん……」
「残れよ」
頭上から降ってきた声に、私と美羽は同時に顔をあげた。
「あ、畑中先生、お疲れ様です!」
どうも先生を目の保養としているらしい美羽は、とびっきりの笑顔で先生に挨拶をした。
「お前ら、今日、学校に残って勉強しろよ」
「ですよね、テスト前ですし」
ほら、残ろうよ、と美羽が私にけしかける。
「えー、けどなあ……」
テスト前といえど、なんとなく今日はやる気が出ない。
いや、まあ、いつもやる気に満ち溢れているわけではないんだけど。
それでもなんだか今日は、特にやる気が出なかった。
「帰るなんて俺は許さないぞ」
先生は、ドン!と私の机に手をついた。
「今日、残れよ」
「どうして?」
「今日、俺、教室の戸締り担当の日だから」
……?
先生が言っていることがわからず、私は首を傾げた。
いや、言っていることはわかるんだけど。