それでも私は、あなたがいる未来を、描きたかった。
「俺、沙帆から畑中の話なんて聞いたことなかったから、びっくりしちゃったよ」
「ごめんごめん、別に話すほどのことでもないと思ってた」
それより、先生って、本当に生徒―きっと特に女子―から人気があるんだなあ。
どうしてだろう。
若いから?それとも、他の先生と比べると、“カッコイイ”に当てはまるのだろうか。
いずれにせよ、私には、先生が人気の理由が全く分からないけれど。
「それで? そんなに畑中とよく一緒にいるの?」
「一緒にいるというか、目をつけられちゃって、何かと呼び出されては雑用を押し付けられている感じ」
先に行っているね、という美羽の言葉にうなずくと、私は壁にもたれながら、靴を履き替えている翼を見つめた。
「どうして? 目つけられるほど何かしたの?」
「あいつ、まだ学校に来て一か月ちょっとじゃん」という彼の言葉に、「何かしたっていうか……恨まれている」と正直に答える。
「恨まれてる? どうして?」
翼は怪訝そうな顔と声で私にもう一度尋ねた。
「始業式の日にね、畑中先生が着任の挨拶をしていたんだけど、ちゃんと聞いていなかったの。それがバレちゃって、目つけられちゃった」
「なんだそれ」
翼はハハッと明るく笑った。
「けど、本当に嫌で困っているなら、相談しろよ。俺から畑中に言ってやるから」
「ありがとう」
「後、普通に妬いた」
翼が少し拗ねた様子で続ける。
「沙帆、最近前よりも全然連絡してこないじゃん。それなのに、『畑中といつも一緒にいるらしい』とか聞くと、普通に不安だわ」
「大丈夫だよ。仲良い訳じゃないし、どちらかというと、苦手なタイプだから」
間髪を入れずに答えた私に、翼は「それなら良いけど」と笑った。
「ごめんごめん、別に話すほどのことでもないと思ってた」
それより、先生って、本当に生徒―きっと特に女子―から人気があるんだなあ。
どうしてだろう。
若いから?それとも、他の先生と比べると、“カッコイイ”に当てはまるのだろうか。
いずれにせよ、私には、先生が人気の理由が全く分からないけれど。
「それで? そんなに畑中とよく一緒にいるの?」
「一緒にいるというか、目をつけられちゃって、何かと呼び出されては雑用を押し付けられている感じ」
先に行っているね、という美羽の言葉にうなずくと、私は壁にもたれながら、靴を履き替えている翼を見つめた。
「どうして? 目つけられるほど何かしたの?」
「あいつ、まだ学校に来て一か月ちょっとじゃん」という彼の言葉に、「何かしたっていうか……恨まれている」と正直に答える。
「恨まれてる? どうして?」
翼は怪訝そうな顔と声で私にもう一度尋ねた。
「始業式の日にね、畑中先生が着任の挨拶をしていたんだけど、ちゃんと聞いていなかったの。それがバレちゃって、目つけられちゃった」
「なんだそれ」
翼はハハッと明るく笑った。
「けど、本当に嫌で困っているなら、相談しろよ。俺から畑中に言ってやるから」
「ありがとう」
「後、普通に妬いた」
翼が少し拗ねた様子で続ける。
「沙帆、最近前よりも全然連絡してこないじゃん。それなのに、『畑中といつも一緒にいるらしい』とか聞くと、普通に不安だわ」
「大丈夫だよ。仲良い訳じゃないし、どちらかというと、苦手なタイプだから」
間髪を入れずに答えた私に、翼は「それなら良いけど」と笑った。