それでも私は、あなたがいる未来を、描きたかった。
言葉に出した瞬間、自分の意思とは反して、怒りで身体が震える。
ああ、もう、嫌だな。
この人の言うことなんか、いつも通り無視したら良いのに。
そう思っていても、なぜか今日は、止められなかった。
「『面倒だって言うな』って言うんだったら、そっちがイライラさせないでよ」
ムカついて、イラついて、けれどなんだかちょっと悲しいような気もして、気が付けば目には涙がにじんだ。
「結局私をイライラさせてるのは、あんたたち大人じゃん」
こんなこと言っても仕方がないのに。
けれど一度口を開いてしまえば、もう続けるしかなかった。
「そもそも、あんた、先生でしょ。生徒にイライラさせるなんて、先生、失格なんじゃないの」
「……ごめん」
誰も通らない、静かな廊下にポツリと、一粒の涙が落ちる。
「今のは流石に言い過ぎた、ごめん」
自分でも驚くほど弱々しい声が、耳に響く。
情けない。
勝手にイライラして、先生に怒鳴って、言い過ぎたと反省して、涙まで流しちゃって。
ああ、もう、私、一人で何しているんだろう。
本当のバカは私かもしれない。
「吉川、おいで」
先生はさっき閉めようとしていた理科室のドアを開けると、私の肩を抱いて、理科室へ入るよう促す。
いつもなら抵抗する場面なのに、もう今は抵抗する元気も気力も無くて、私はおとなしく理科室へ入った。
「ほら、座れ、ここ」
先生がひいてくれた椅子に座る。
気まずい。
さすがに先生、怒ったかな。
怒るよね、“先生失格”まで言っちゃったし。
はあ、とため息をついてしまったのと、大きな手が私の頭を撫でたのは、同時だった。
「なにも謝らなくて良い」
先生は私と向かい合うように座ると、もう一度ゆっくり頭をなでた。
「吉川が謝ることなんて何もない。だから、謝らなくて良いよ」
ああ、もう、嫌だな。
この人の言うことなんか、いつも通り無視したら良いのに。
そう思っていても、なぜか今日は、止められなかった。
「『面倒だって言うな』って言うんだったら、そっちがイライラさせないでよ」
ムカついて、イラついて、けれどなんだかちょっと悲しいような気もして、気が付けば目には涙がにじんだ。
「結局私をイライラさせてるのは、あんたたち大人じゃん」
こんなこと言っても仕方がないのに。
けれど一度口を開いてしまえば、もう続けるしかなかった。
「そもそも、あんた、先生でしょ。生徒にイライラさせるなんて、先生、失格なんじゃないの」
「……ごめん」
誰も通らない、静かな廊下にポツリと、一粒の涙が落ちる。
「今のは流石に言い過ぎた、ごめん」
自分でも驚くほど弱々しい声が、耳に響く。
情けない。
勝手にイライラして、先生に怒鳴って、言い過ぎたと反省して、涙まで流しちゃって。
ああ、もう、私、一人で何しているんだろう。
本当のバカは私かもしれない。
「吉川、おいで」
先生はさっき閉めようとしていた理科室のドアを開けると、私の肩を抱いて、理科室へ入るよう促す。
いつもなら抵抗する場面なのに、もう今は抵抗する元気も気力も無くて、私はおとなしく理科室へ入った。
「ほら、座れ、ここ」
先生がひいてくれた椅子に座る。
気まずい。
さすがに先生、怒ったかな。
怒るよね、“先生失格”まで言っちゃったし。
はあ、とため息をついてしまったのと、大きな手が私の頭を撫でたのは、同時だった。
「なにも謝らなくて良い」
先生は私と向かい合うように座ると、もう一度ゆっくり頭をなでた。
「吉川が謝ることなんて何もない。だから、謝らなくて良いよ」