それでも私は、あなたがいる未来を、描きたかった。
「沙帆は? 将来の夢、見つけた?」

「……まだ、かな」

へらりと笑う。

「一応、探してはいるんだけどね、興味があること。ただ、なかなか見つからなくて……」

「そっか、まあ、そう簡単に見つかるもんじゃないよなあ」

気を遣ってか、翼は、「わかるよ」と微笑んだ。

「けど、もし見つかったら、一番に教えろよな」

「……見つけるまでに十年とかかかったらごめん」

「十年!? それは長すぎ」

翼はやっと、いつものように明るく声をあげながら笑った。

「まあ、受験まで勉強漬けの日々だけど、たまには一緒に勉強したり、こうやって息抜きにカフェ来たりしような」

「うん」

私は目の前のカプチーノに手を伸ばす。

喉に流れてきたカプチーノはすっかり冷たくなっていた。
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