それでも私は、あなたがいる未来を、描きたかった。
「「暑い~~~!!」」

無事那覇空港に到着後、到着口から一歩外に出て、沖縄の外気に触れた瞬間、私と美羽は、思わず口を揃えて叫んだ。

「想像以上に暑くない?」

私はパタパタと自分の手で風を仰いだ。

「暑いねえ、汗かいちゃいそう」

「カーディガン脱ぎたいけど、脱いだら日焼けしそうだよねえ……」

眩しさに目を細めながら、遠慮なく私たちを照らす太陽を見つめる。

「日焼けをするか、暑さに耐えるか……」

「うぅ……」と葛藤している私を見て、美羽は笑う。

「沙帆、せっかくの沖縄だよ! 修学旅行だよ! 答えは一択でしょ!」

「……まあ、そうだよね!!!」

私と美羽は、周りのクラスメイトと同じように、そそくさとカーディガンを脱いだ。


先生たちに誘導され、自分のクラスのバス乗り場まで向かう途中、いつも一緒にいるクラスメイト達と談笑している彼の姿を見つけ、私は声をかけた。

「翼」

「おお、沙帆」

クラスメイト達に向けられていた笑顔が、次は私に向けられる。

「いよいよ来たね、沖縄」

「だな! やっとだな!!」

沖縄の太陽にも負けないぐらいの明るい笑顔で、翼はニカッと笑う。

「お互い楽しもうね、修学旅行」

「おう!」

「じゃあ、またね」

「あ、沙帆!」

立ち去ろうとした私の腕を、翼はギュッとつかんだ。

「クラスが違うからなかなか難しいかもしれないけど、タイミング見つけて、一緒に写真撮ろう。思い出、作ろうな」

「うん、そうだね」

翼の提案に、コクッと頷く。

すると翼は、優しい眼差しで私を見つめてから、私の頭を撫でた。


「いいねえ、ラブラブは!!」

「先生」「畑中……」

私と翼は同時に、声がした背後へ視線をむける。

「ほら、お前、最後の方なんだぞ。みんなのこと待たせているんだから、さっさと歩け」

先生が私の頭を小突く。

「いったいなあ、もう。優しくしてよね。バカになったらどうしてくれんのよ」

「大丈夫だって、それよりほら、早く行け!」

「わかったってば」

私は先生を一睨みしてから、「またね!」と翼に手を振って、自分のクラスのバスへ小走りで向かった。
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