それでも私は、あなたがいる未来を、描きたかった。
え、これ、もしかして、私がお昼休みに職員室へ行かないといけない流れになっている……!?

私、一度も「引き受けます」とは言っていないけど…!?

「ちょっと!!」

引き留めようと声をあげたのに、先生は聞こえなかったのか、スタスタと教室から出て行った。

さっき去ってほしかった時は一歩も動かなかったくせに、今に限って……。


「なんなのよ……あいつ……」

追いかける気にもならず、私は諦めて、ドスンと音を立てながら椅子に座る。

「ウザいよ、あいつ……」

机に突っ伏した私に、美羽はケラケラと笑う。

「いいじゃん! 畑中先生、沙帆のこと、お気に入りなんじゃない?」

「……どう考えたって、違うでしょ」

普通、挨拶を終えた時に握手しなかっただけで、雑用を押し付けるぐらい恨む??

本当にあり得ないんだけど。嫌すぎる。

こんなことになるなら、昨日、話を聞いている“フリ”でもしておけばよかった。

「面倒だよ……」

「まあ、頑張れ」

「他人事だと思って……!」

軽く励ましの言葉を放った美羽をギロッと睨むと、美羽はおどけたように舌をペロッと出しながら笑った。
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