それでも私は、あなたがいる未来を、描きたかった。
「それで、妹に彼氏が出来たみたいでさあ」
「へえ、美優ちゃんが!! 遂に!!」
「あんなに小さかった美優がだよ~。姉としては複雑でさ、しかもその彼氏が……」
昼休み、美羽の妹に彼氏が出来た話を聞きながらお弁当を食べていると、翼が教室にやってきた。
「ごめん、急に」
「ううん、いいけど。珍しいね?」
翼は、美羽にも「邪魔してごめん」と謝ってから、近くにあった椅子を持ってきて、私の隣に座った。
「これ、見て」
翼は、先日受けた模試の成績表を私に渡すと、「志望校合格判定欄」を指差した。
「す、すごい……!」
第一志望校欄に印字されているT大の名前の隣には、「A」と言う文字が記載されている。
――「A」とは、合格率80%を表し、合格に最も近い成績層に位置していることを示す、アルファベット。
「へえ、児玉、T大A判定出ている!すごいじゃん!!」
私と同じように成績表を覗き込んだ美羽も、感心した様子で翼を見た。
「T大でA判定をとれたのは初めてだったからさ。沙帆にも、見てほしくて」
美羽と私の2人から投げかけられた誉め言葉に翼は照れ笑いを浮かべながらも、少し誇らしげに告げた。
「本当に凄いよ! T大でA判定取れるなんて」
「やっぱり翼はすごいなあ」、私の言葉に、翼はまた嬉しそうに笑う。
「ねえねえ」
美羽が私の腕をつつく。
「もし彼氏の児玉がT大に合格したら、沙帆も鼻高々だね?」
「そりゃそうだよ!」
私は大きく首を縦に振る。
「あ、けど、なんだか翼の彼女でいることに、恐れ多くなっちゃうかも。彼氏がT大生なんて、凄すぎて」
「なんだそれ」
翼が笑う。
「児玉は志望校、T大で決定なの?」
「うーん、まだK大も迷っているんだよなあ。今のところ、五分五分って感じかな」
美羽の問いかけに、翼はチラッと私を見てから答えた。
「まあ、そうだよね」
美羽は、お弁当に入っている卵焼きを口に運びながら続ける。
「確かにT大は偏差値高いし、合格出来たらすごいけれど、K大だって十分有名だし、なにより地元だしねえ」
「そうなんだよなあ、やっぱり地元って、良いよなあ」
美羽の言葉に、翼は同意する。
「沙帆は志望校、どこ書いたの?」
翼が私に尋ねたのと同時に、教室中に「吉川!」と私の名前が響き渡った。
「へえ、美優ちゃんが!! 遂に!!」
「あんなに小さかった美優がだよ~。姉としては複雑でさ、しかもその彼氏が……」
昼休み、美羽の妹に彼氏が出来た話を聞きながらお弁当を食べていると、翼が教室にやってきた。
「ごめん、急に」
「ううん、いいけど。珍しいね?」
翼は、美羽にも「邪魔してごめん」と謝ってから、近くにあった椅子を持ってきて、私の隣に座った。
「これ、見て」
翼は、先日受けた模試の成績表を私に渡すと、「志望校合格判定欄」を指差した。
「す、すごい……!」
第一志望校欄に印字されているT大の名前の隣には、「A」と言う文字が記載されている。
――「A」とは、合格率80%を表し、合格に最も近い成績層に位置していることを示す、アルファベット。
「へえ、児玉、T大A判定出ている!すごいじゃん!!」
私と同じように成績表を覗き込んだ美羽も、感心した様子で翼を見た。
「T大でA判定をとれたのは初めてだったからさ。沙帆にも、見てほしくて」
美羽と私の2人から投げかけられた誉め言葉に翼は照れ笑いを浮かべながらも、少し誇らしげに告げた。
「本当に凄いよ! T大でA判定取れるなんて」
「やっぱり翼はすごいなあ」、私の言葉に、翼はまた嬉しそうに笑う。
「ねえねえ」
美羽が私の腕をつつく。
「もし彼氏の児玉がT大に合格したら、沙帆も鼻高々だね?」
「そりゃそうだよ!」
私は大きく首を縦に振る。
「あ、けど、なんだか翼の彼女でいることに、恐れ多くなっちゃうかも。彼氏がT大生なんて、凄すぎて」
「なんだそれ」
翼が笑う。
「児玉は志望校、T大で決定なの?」
「うーん、まだK大も迷っているんだよなあ。今のところ、五分五分って感じかな」
美羽の問いかけに、翼はチラッと私を見てから答えた。
「まあ、そうだよね」
美羽は、お弁当に入っている卵焼きを口に運びながら続ける。
「確かにT大は偏差値高いし、合格出来たらすごいけれど、K大だって十分有名だし、なにより地元だしねえ」
「そうなんだよなあ、やっぱり地元って、良いよなあ」
美羽の言葉に、翼は同意する。
「沙帆は志望校、どこ書いたの?」
翼が私に尋ねたのと同時に、教室中に「吉川!」と私の名前が響き渡った。