それでも私は、あなたがいる未来を、描きたかった。
決意
1週間後。
高校生活最後の体育祭―きっと自分が“生徒”として参加するのは最後の体育祭―で最後の競技を終えた私は、一緒に出場していたクラスメイトや美羽と一緒に、指定の応援席へ戻った。
「これで、体育祭も終わりか~」
「実感ないよね。あっという間に終わっちゃった」
少し感慨深げにつぶやいた私の言葉を、美羽が拾ってくれた。
「けどさ! 沙帆はまだ、出番が残っているようなものだよね?」
「児玉、クラス対抗リレーでアンカーなんでしょ?」と美羽は私の腕をつついた。
「あ、そうそう。体育で100mを計った時、クラスで一番だったんだって」
「アンカーに選ばれた……」
クラス対抗リレーに出場すると決まった時、戸惑い半分、嬉しさ半分といった様子で報告をしてくれた彼を思い出す。
「楽しみだね?」
美羽の問いかけに、素直に「うん」と頷く。
ここ数日、放課後遅くまで残って練習していたみたいだから、どうか彼の努力が報われるといいな。
――クラスが違うから、あんまり公に応援の気持ちは出せないけれど。
「それにしても、児玉、足速いんだね。あいつ、本当に勉強も運動も出来るんだね。ここまですごいと尊敬だわ」
「おーい、吉川~!」
美羽の言葉に被せるように、いつもと違ってジャージを着た先生が、少し離れた場所から私を呼んだ。
「コーン運ぶから手伝え!」
「いってらっしゃい」
私がうなずくより前に、美羽は私の背中を叩いた。
「いつになったら雑用係卒業できるんだろ」
もう慣れちゃったけど、と付け加えた言葉に、美羽はケラケラ笑った。
「そうだね、もうさすがに慣れちゃうよね。半年間、雑用係引き受けちゃっているもんねえ」
「そっか、もう半年も、先生に服従しているんだ」
「服従って、言い方」
ほら、早く行っておいで、と、美羽は笑いながら、立ち上がった私の背中を押した。
高校生活最後の体育祭―きっと自分が“生徒”として参加するのは最後の体育祭―で最後の競技を終えた私は、一緒に出場していたクラスメイトや美羽と一緒に、指定の応援席へ戻った。
「これで、体育祭も終わりか~」
「実感ないよね。あっという間に終わっちゃった」
少し感慨深げにつぶやいた私の言葉を、美羽が拾ってくれた。
「けどさ! 沙帆はまだ、出番が残っているようなものだよね?」
「児玉、クラス対抗リレーでアンカーなんでしょ?」と美羽は私の腕をつついた。
「あ、そうそう。体育で100mを計った時、クラスで一番だったんだって」
「アンカーに選ばれた……」
クラス対抗リレーに出場すると決まった時、戸惑い半分、嬉しさ半分といった様子で報告をしてくれた彼を思い出す。
「楽しみだね?」
美羽の問いかけに、素直に「うん」と頷く。
ここ数日、放課後遅くまで残って練習していたみたいだから、どうか彼の努力が報われるといいな。
――クラスが違うから、あんまり公に応援の気持ちは出せないけれど。
「それにしても、児玉、足速いんだね。あいつ、本当に勉強も運動も出来るんだね。ここまですごいと尊敬だわ」
「おーい、吉川~!」
美羽の言葉に被せるように、いつもと違ってジャージを着た先生が、少し離れた場所から私を呼んだ。
「コーン運ぶから手伝え!」
「いってらっしゃい」
私がうなずくより前に、美羽は私の背中を叩いた。
「いつになったら雑用係卒業できるんだろ」
もう慣れちゃったけど、と付け加えた言葉に、美羽はケラケラ笑った。
「そうだね、もうさすがに慣れちゃうよね。半年間、雑用係引き受けちゃっているもんねえ」
「そっか、もう半年も、先生に服従しているんだ」
「服従って、言い方」
ほら、早く行っておいで、と、美羽は笑いながら、立ち上がった私の背中を押した。