あやかし戦記 永遠の終わり
「ぶっ殺してやりたい!お前のことは、例え何百回殺しても許せないくらい憎んでいる。姉さんの呪いがあっても、お前だけは最終決戦の時に始末するつもりだった」

激しい怒りを見せ、ツヤはただミツヒデを睨む。ミツヒデは苦しそうに手枷のついた手でツヤの手を掴んだ。

「ならば何故、今ここで殺さない?お前なら簡単にできるだろう?」

そう言われると、ツヤの手は一気に力を無くして彼の胸ぐらを離す。俯き、体を震わせながらツヤは言った。

「あたしの部下に、馬鹿なほど優しい女がいる。鬼に襲われそうになっているところを、鬼を殺して救ったあたしを叱り、妖と共存する世界を作るためにアレス騎士団に入団してきた。綺麗事ばっかり吐く奴があたしは嫌いだ。だけど、その女のことは嫌いにはなれない。ずっと何でだろうって考えて、最近やっと答えを見つけた。その女は、母さんや姉さんに優しさが似てるんだ」

ツヤの言葉にミツヒデの瞳が揺らぐ。だが、俯いているツヤにはそれを見ることはできない。
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