あやかし戦記　永遠の終わり
サタンが苦しんでいる間に、ギルベルトは素早く拘束具を取り出してサタンを縛り上げる。

「本当は殺したいけど、僕の大事な人は敵でさえ殺したがらないからね。今日はその人がこの場所で戦っているから、殺さないであげるよ」

「テメェ……！」

二人が睨み合っていると、「この女がどうなってもいいと言うの！？」と背後から声が響く。

ギルベルトが振り返れば、倒れているアリスに狐がどこから取り出したのかナイフを突き付け、血走った目でギルベルトを睨んでいる。

「この女を死なせたくなかったら、サタン様を解放しなさい！」

「ギルベルトさん……私には……構わないで……ください……」

消えてしまいそうな声でアリスが訴え、狐にナイフを当てられている首筋から血が垂れていく。

ギルベルトは一瞬ピクリと眉を動かしたものの、遠くを見てニヤリと笑う。

「ありがとう、血の匂いで味方が来てくれたよ」

「は？」

狐が聞き返した刹那、背後からピンクのレースのついた服を着た女性が抱き付く。そして、狐の首に鋭く尖った牙を突き立てた。
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