甘やかし婚 ~失恋当日、極上御曹司に求愛されました~
『やっと沙也が職場で既婚者扱いされるな』
職場に伝えた旨を報告をすると、夫は満足そうに口角を上げていた。
『でも、人の口に戸は立てられぬと言うでしょう。こんな内輪で勝手に発表して大丈夫?』
職場の皆には正式な発表前のため内密にしてほしいと一応伝えてあるが、このご時世、どこから情報が洩れるかわからない。
『きちんと発表する準備をしているし、気にする必要はない。余計な心配をせず、自分の体調に気をつけてくれ』
……ああ、まただ。
倒れたあの日から、私の妊娠が判明した日から、彼の態度は大きく変わった。
私を気遣ってくれているのは重々理解しているし、大切にしてもらって感謝している。
それでも事あるごとに“気にするな”“自分の体だけを考えろ”と言われ、郁さんを遠くに感じて胸が苦しくなる。
彼が最優先したいのは私ではなく、赤ちゃんだけなのでは?と醜い感情があふれてしまいそうになる。
赤ちゃんがお腹に来てくれて嬉しいのに、幸せに浸れない。
郁さんが私に触れる手つきが、見つめる目が以前と変わった気がして怖くなる。
私を『大事だ』と幾度も伝えてくれるけれど『好きだ』とは言わなくなった。
職場に伝えた旨を報告をすると、夫は満足そうに口角を上げていた。
『でも、人の口に戸は立てられぬと言うでしょう。こんな内輪で勝手に発表して大丈夫?』
職場の皆には正式な発表前のため内密にしてほしいと一応伝えてあるが、このご時世、どこから情報が洩れるかわからない。
『きちんと発表する準備をしているし、気にする必要はない。余計な心配をせず、自分の体調に気をつけてくれ』
……ああ、まただ。
倒れたあの日から、私の妊娠が判明した日から、彼の態度は大きく変わった。
私を気遣ってくれているのは重々理解しているし、大切にしてもらって感謝している。
それでも事あるごとに“気にするな”“自分の体だけを考えろ”と言われ、郁さんを遠くに感じて胸が苦しくなる。
彼が最優先したいのは私ではなく、赤ちゃんだけなのでは?と醜い感情があふれてしまいそうになる。
赤ちゃんがお腹に来てくれて嬉しいのに、幸せに浸れない。
郁さんが私に触れる手つきが、見つめる目が以前と変わった気がして怖くなる。
私を『大事だ』と幾度も伝えてくれるけれど『好きだ』とは言わなくなった。