本気の恋を、教えてやるよ。



なるほど、確かにそれは大変そうだ。


ふむふむと頷いていると、「体のいい雑用係が欲しいだけじゃない」と梓ちゃんが鋭く突っ込んだ。


「大体、なんでわざわざ茉莉に頼むのよ」


じろ、と睨んだ梓ちゃんに、佐川くんがへらりと笑う。


「だって俺、本社で話しかけられるの二人くらいしか居ないもん。それもまあ今日初めて声掛けたんだけど!」


それに、と佐川くんが駒澤くんをチラリと見遣る。


「もー、こいつがほんっと罪な男で。楽斗目当てに入ってくる女の子が後を絶たないんだけど、楽斗は楽斗で全然相手にしないから入れ替わり立ち替わりでさ……」

「はあ?俺のせいかよ」


佐川くんの言葉にムッとした顔の駒澤くんが反論する。でも梓ちゃんはなるほどねと横で納得していた。


「合宿の間だけでいいんだ!稲葉さんも、妻夫木さんも、息抜きだと思って来てよ、お願い!」


パン、と両手を合わせて、駄目?と潤んだ瞳で見上げてくる佐川くん。




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