本気の恋を、教えてやるよ。




「稲葉」

「は、はいっ」

「……あとで、連絡する」


駒澤くんはそれだけ言うと、迷いのない足取りでバスを降りていった。


れ、連絡って……え?


どういうことだろう……と内心首を傾げながら、梓ちゃんを連れてバスを降りる。


「梓ちゃん、大丈夫?」


まだ顔色の悪い梓ちゃんを心配になりながら覗き込むと、「大丈夫……」とか細い声が返ってきた。


それから梓ちゃんは遠い目をし、はあ、とため息をつく。


「でも、あんたらが目の前でラブラブし出すから暫く目え開けられなかったわ」

「ラブ……!?してないよ!」

「は〜?あんな甘酸っぱい空気醸し出しといて何を……」


胡乱な目つきの梓ちゃんにブンブンと首を振る。


あの状況のどこがラブラブしてるように見えたんだ梓ちゃん。私なんか、蛇に睨まれた蛙のような気持ちだったのに!


だけど梓ちゃんはニヤリと口角を上げ。



< 138 / 392 >

この作品をシェア

pagetop