本気の恋を、教えてやるよ。




*º楽斗side.


「はあ……」


合宿一日目。

手遊ぶようにドリブルしながら無意識のうちにため息をつくと、それを目敏く見つけた壱人が興味津々といった顔を隠さずに近付いてきた。


「なになに、楽斗がため息なんて珍しっ」

「なんでちょっと嬉しそうなワケ」


せめてもう少し心配そうな顔をしろよ、ムカつくな……。新しいオモチャを見つけた子供みたいに目をキラキラさせるな。


そんな思いも込めつつジト目で見遣ると、壱人はケラケラと笑った。


「だって楽斗がなんでそんな意気消沈してるのか、分かっちゃったからさー!」

「はあ……?」


なんだそれ。怪訝な顔を作ると、壱人がニヤリと笑う。


「ずばり!稲葉さんと何かあったからだろ!」

「……悪いかよ」


いとも容易く当てられたのが不満で、思わず口をへの字にしながら答えると、やっぱり壱人は楽しそうに笑った。





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