本気の恋を、教えてやるよ。
あんだけ言ったのに、俺の想いが塵ほどにも伝わってないなんてこと──……。
「え、違うの?」
伝わってないなんてこと──あった。
「…………。」
「え、え、駒澤くん!?ど、どうしたの?」
がっくりと項垂れた俺に、慌てたように声を掛けてくる稲葉。だけどもう、脱力しすぎて何も言えない。
俺、結構勇気出して言ったのに……。てか普通気付くだろ、少しくらい。
「……あ゛ーーーっ、もう!」
突然、吹っ切れたように唸り叫んだ俺に稲葉がビクッと反応する。
垂れていた首を上げて、真っ直ぐに稲葉を見つめた。
「稲葉、この際だからはっきり言う」
「は、はい……」
怒られるとでも思っているのか、ビクビクと震えながらこちらを窺う稲葉に手を伸ばし、その華奢な身体を抱き寄せる。
ふわりと花のような香りが掠め、俺は誘われるように稲葉の頭ごと抱え込んだ。
そうしないと、この赤くなった顔を見られてしまうから。