本気の恋を、教えてやるよ。
#3.触れたくなるだろ
「アンタが好きだ」
耳元で囁かれた言葉は、幻聴だろうか。
「本気で……稲葉が好きだ。ずっと好きだった」
だけど、その矢先にそれを否定するかのように言葉が重ねられて。
すっぽりと閉じ込めるように私を抱き締めてくる駒澤くんの力が強くて、それでいて、僅かに震えているから。
駒澤くんの言葉が本気なのだと、信じざるを得なかった。
……駒澤くんが、私を好き?
「……う、嘘…」
信じるしかない。そう思ったのは確かだけど、あまりの驚きに思わずそう呟くと、視界にムッとした顔の駒澤くんが映し出される。
「なんで嘘とかいうんだよ」
睨むように目を眇られ、どう応えればいいのか分からなくなる。
だって、信じられるわけが無い。
女の子に人気で、カッコよくて優しい彼が、最近話すようになったばかりの私を、好きだなんて。
「だ、だってそんなに接点もなかったから……」