本気の恋を、教えてやるよ。

素直に言うと、駒澤くんは不貞腐れるようにそっぽを向いた。


「稲葉にとってはそうでも、俺にとっては違う。俺は、ずっと見てたから」

「え……？」

「稲葉のこと、ずっと見てた」


ずっと見てた……？


意味を捉えきれず戸惑う私に、僅かに目元を赤らめた駒澤くんが視線だけをちらりとこちらに遣る。


「一目惚れってこと」

「ひとめぼ……っ！？」

「……なんでそんな驚くんだよ」


口元を覆って、眉を顰めながら告白した彼の言葉に悲鳴のような声を上げてしまう。


大袈裟に驚く私に、駒澤くんは逆に落ち着きを取り戻したのか、呆れたように私を見下ろした。

でも、私はもうオーバーヒート寸前だ。


「だ、だって私、そんな一目惚れされるような容姿じゃないし……」

「……それ、本気で言ってる？」


落ち着かない気持ちのまま否定と言い訳を繰り返せば、ジトっとした視線が向けられる。


「稲葉、色んな男から狙われてるよ」