本気の恋を、教えてやるよ。




……即答ですか。


いくらなんでも、クズは言い過ぎじゃない?と思わず苦笑する。


私は、慶太のことがずっとずっと好きだった。


何度裏切られても、それでも、好きで。


慶太が私と離れたくないって言うなら、離れるつもりなんてなくて。私が必要だと言うなら、そうなんだろう、って。


誰になんと言われようと、これが私達の愛の形だから──なんて。


半ば、自分に言い聞かせていた。


本当は心のどこかで、こんなに歪んだ愛の形なんておかしいって分かっていたのに、信じたくなくて。認めるのが、怖くて。


歪な形の愛の殻に篭っていると、すごく安心できたから。

慶太に──誰かに、愛されている安心感が欲しかったから。


だけどその殻が、外側から徐々に割られようとしているのが分かる。


私を、外に連れ出そうとしている。


目を閉じれば、思い浮かぶのは慶太ではなく、殻が壊れたその先で待っているのはきっと──……。



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