本気の恋を、教えてやるよ。



恋は盲目と言うけれど。


慶太に溺れ、囚われた私をすくい上げようとしてくれる駒澤くん。


盲目な私の目を、駒澤くんなら醒ましてくれる?


駒澤くんなら私に、本当の愛を教えてくれるのかな。





「稲葉」


翌朝、合宿二日目、最終日。


泊まった合宿所はコテージと練習の場所だけを貸してくれる形で、食事なんかは自分たちで用意しないといけない。


結局あれからあまり深くは眠れなくて、どうせ目が冴えてしまうならと、早朝から起き出して朝ごはんの準備をしていると、不意に後ろから声を掛けられた。


まさか他に人が居るだなんて少しも考えていなくて、心臓が冷えるほど驚いた私は菜箸を落としそうになってしまう。


「こ、駒澤くん!」


箸が指先をすり抜ける寸前でどうにかキャッチしながら振り向くと、そこには駒澤くんが立っていた。


首にタオルを掛けて、額にはうっすらと汗を滲ませている。



< 155 / 392 >

この作品をシェア

pagetop