本気の恋を、教えてやるよ。



「あれ、どこか行ってたの?」

「あー……ランニング、してた」

「ランニング!」


こんな朝早くから、昨日の疲れもまだ残っているだろうにランニングだなんてすごい。


私には絶対無理だ……。


目を丸くする私に、駒澤くんはちょっと微笑みながら近付いてきた。


「朝飯?すげーいいにおい」


すん、と匂いを嗅ぐ仕草を見せる駒澤くんに、こくりと頷く。


「うん、できるところまで準備しておこうかなって」

「ふーん……あ、卵焼き」


さっき作っていただし巻き玉子を目に留めて、ぽつりと呟く駒澤くん。


「あ、それ今さっき作ったの。卵焼き、嫌いだった?」

「や、むしろ好き」


柔らかい声で、駒澤くんが私を見つめて、ふにゃりと相好を崩しながらそう言うから。


自分に向けて「好き」だと言われたわけじゃないのに、思わず心臓が大きく跳ねてしまった。


「そそそ、そっか!なら良かった!」



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