本気の恋を、教えてやるよ。



動揺を隠しきれず吃りながら、料理に集中するために鍋へと向き直る。


……もう、朝から心臓に悪いよ…。


なかなか落ち着かず、ドキドキしたままの心臓を宥めながら鍋をぐるぐる掻き回していると。


「ね、卵焼き、一個食いたい」


突然横からそう声をかけられ、見れば駒澤くんが、覗き込むように私を見つめていた。


「えっ?」

「だから、卵焼き……一個食べたい。ダメ?」

「だ、駄目じゃないよ……!」


慌てて首を振り、卵焼きの乗ってるお皿を差し出す。


きっとランニング終わりで駒澤くんもお腹が空いてるだろうし、一個くらいいいよね……。


すると、駒澤くんはお皿を暫く見つめたあとで、口を半開きにさせて私を見た。


「ん」

「……え?」

「食わせて」

「……えっ!?!?」


しれっとした顔で言われた突然の発言に、素っ頓狂な声を上げてしまう。


く、食わせてってつまり……あーんしてってこと!?




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