本気の恋を、教えてやるよ。



私には慶太だけなのに、心が揺れる音がした。


「駒澤くん……」

「俺、アンタが俺に何を言おうとアンタのこと諦めるつもり無いから」

「……っ」

「俺なら、稲葉のこと泣かせたりしない」


駒澤くんは真剣な表情でそう言うと、私の頭をひとつ撫で、部屋へと戻って行った。


──揺れる、乱される。


駒澤くんの想いが、私の胸を甘く、苦く締め付けた。







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